サウジアラビアの死刑
発表は出るが、方法は明かされない
サウジアラビアは、死刑を執行するたびに内務省が発表を出します。氏名も罪状も公表されます。この点でイランとは対照的で、記録を作る側からすると確認しやすい国です。ただし、執行方法だけは書かれていません。
2025年は356件、過去最多
アムネスティ・インターナショナルの集計では、2025年にサウジアラビアで確認された執行は少なくとも356件。前年の記録を更新し、同国として過去最多となりました。世界全体ではイランに次ぐ2位です。
人口約3,600万人の国としては、人口比で見ても世界有数の水準です。
発表はこう出る
執行が行われると、国営のサウジ通信(SPA)や各紙が内務省の発表を報じます。内容はおおむね次の形です。
- 執行された人の氏名(部族名を含む長い形式で書かれます)
- 国籍
- 何をしたか(罪状)
- どの刑の区分で執行したか(キサース/タアズィール/ハッド)
- 執行が行われた州
一方で、執行方法、執行の時刻、執行場所の詳細は書かれません。このサイトの記録で、サウジアラビアの執行方法が「非公表(サウジは通常、斬首)」となっているのはこのためです。一般に斬首が用いられているとされますが、個別の事案について確認する方法がありません。
3つの区分
発表には、どの法的枠組みで執行したかが書かれます。記録に出てくる言葉でも触れていますが、要点は次のとおりです。
キサース(同害報復)
殺人事件で用いられます。最終的に執行するかどうかを決めるのは被害者の遺族で、遺族が赦せば執行されません。賠償金(ディーヤ)による解決も可能です。
タアズィール(裁量刑)
イスラーム法に刑の定めがない犯罪に、裁量で科される刑です。麻薬の密輸に対する死刑はこの区分です。近年、確認された執行のかなりの部分がこれにあたります。
ハッド(固定刑)
イスラーム法に刑が定められている犯罪です。ハラーバ(武装強盗、公道での襲撃)が代表的で、「ハラーバの刑を科した」という形で発表されます。
外国人が多い
記録を見ると、パキスタン、イエメン、エチオピア、ナイジェリア、シリア、ヨルダン、エジプト、オマーンなど、さまざまな国籍の名前が並びます。とくに麻薬犯罪では外国籍の人の比率が高くなります。
人権団体は、外国人被告が母語での通訳や弁護人を十分に得られないまま裁判を受けている場合があると指摘しています。
集団処刑
サウジアラビアでは、1日に多数の執行が同時に行われることがあります。2022年3月には1日で81人が執行され、国際的な批判を受けました。このサイトの記録でも、同じ日付に複数の名前が並ぶことがあります。
このサイトが参照している情報源
- サウジ通信(SPA) — 内務省発表を報じる国営通信
- Okaz、Ajel、Sabq などのサウジ国内紙 — 発表を詳細に報じる
- Reprieve、アムネスティ・インターナショナル — 集計と分析
アラビア語の発表を確認して記録しているため、日本語の報道より早く、詳しく載ることがあります。
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